整形外科医に聞く「子どもの肘の怪我、肩が抜けたときの対処法」

整形外科医に聞く「子どもの肘の怪我、肩が抜けたときの対処法」

幼小児の肘の怪我や肩が抜けたときの対処法について、整形外科の先生にお話をお伺いしました。

幼小児の肘の怪我

幼少児(特に6~7才以下の子ども)の肘周辺への外傷は、転落・転倒したときに肘を伸ばしたまま手のひらをついたりして肘を捻ったり、あるいは、肘を曲げた状態で直接肘を打撲したり、手首を強く引っ張ったりして発生するものがほとんどです。

これら幼少児の肘の外傷(骨折、脱臼を含めて)の大部分が手術をせずに湿布をしたり、ギプス、副木(シーネ)等にて、3~4週間位で治癒するものです。しかし、中にはどうしても、手術をしなければいけない症例もあります。

その理由は、旺盛な成長期にある幼少児にとっては、四肢(上腕、前腕、大腿、下腿)の傷害は大事であるということもありますが、それよりも、肘周辺の外傷は、治癒しても成長の途上であるために、受傷後、数年間かかって徐々に肘関節の変形が出現・増強したり、手指に走っている神経(特に小指、環指のシビレ)の傷害と指の変形をきたしたりすることがあり、四肢の障害よりも注意を払う必要があるからです。

怪我をしたときの注意点

では、受傷直後はどのような点に気をつけたらよいのでしょうか?もし次のような症状がある時は早急に手術等で治す必要もありますのですぐに病院へ行きましょう。

  • 怪我をした肘関節から先の前腕から手先にかけて、反対側の肘(怪我をしていない方の肘)と比較して、青黒くなっていたり、血の気がなくなり青白くなっている
  • 肘だけではなく、肘から前腕、手へかけての強い痛みがある
  • 怪我した方の手首が下へ下垂し、まっすぐ伸ばそうとしても、伸ばせない
  • 怪我した方の手で握りこぶしを作らせてみて、親指と人差し指が曲がらずに、物をつまむような格好になる
  • 小指と薬指との間が開いたままで近づけることができない
  • 小指の付け根が自然に真っ直ぐに伸び、指の付け根に近い方の関節が曲がっていて伸びない
  • 人差し指と中指を重ね合わせることが出来ない、できても反対側(怪我をしていない方)と比較してその力が弱い
  • 手首では看護婦さんが脈をとる時に触れる動脈の拍動を指先で感じることができますが、これを左右比較して怪我をしている方の脈拍が弱い
  • その他肘から手先方面にシビレ感がある

なお、病院では診察を受けた後に全身麻酔をかけて治療しなければならないこともありますので、お子さんがお腹がすいたり、喉が渇いたりしていても、食物や水分を与えない方がよいでしょう。そして、担当のお医者さんに聞いて、飲んだり食べたりしてもいいですよということを確認してから与えるようにしましょう。これは非常に大切なことです。

肩が抜けたときの対処法

生後6歳位までの幼小児は、男女を問わず、急に手首を引っ張ると腕がダラリと下がったままの状態になり、自分では腕を上げることができなくなってしまうことがあります。このようなとき、他人が無理に上げようとするとかなり痛がります。また、ごくまれにお昼寝中に寝返りをして腕を捻り、痛みで目がさめると腕がダラリと下がっており、痛みを訴えることもあります。痛みは肘に出ることも手首に出ることもあります。

よく「肩が抜けてる」ようですと言いますが、これは、肘内障(チュウナイショウ)という病名がついたもので、肘関節の靭帯(橈骨輪状靭帯)がはずれて起こっているものです。その肘にはハレ(腫脹)はありません。また、痛い方の手をもって手のひらを上へ向けたり、前腕を外側へ廻すとかなり痛がります。子どもなどの手を引いた結果、子どもの手がダラリと下がってしまい、また、痛がっているようなとき、前腕を動かして痛みが強くなったり肘がはれていないようなときには、この肘内障が最も考えられます。

このような時、着ている物(上着や肌着等)を着せたり脱がしたりすると治って手(腕)が動くようになることがあります。痛かった方の手指で本人の耳を本人が握れることができればおそらく完治しています。後はなにもする必要ありません。ただし。これは習慣性になることがありますが、習慣性になった子供の肘(手首)は急に無理にひっぱらないように注意して下さい。

多くの場合、小学校入学まで成長すると起こらなくなります。

photo credit: L. Marie via photopin cc