ポリオワクチンの基礎知識

さて、いきなり褒めすぎと思われてしまうと思いますが、日本は世界の最先端を独自の技術と発想を以って突っ走っています。当然、他国の追随は許すはずもなく、諸外国からは「何でその発想に至るのか意味が分からない、例えその考えが有ったからと言っても実現できるとは到底思えない」級の賞賛があり、通常では考えもつかないことを実現してしまうのです。

しかしながら、その最先端技術力を持った我が国はワクチンに関しては後進国であるということを耳にした時、正直耳を疑いました。 今回は社内でも疑問に挙がっていた2種類のポリオワクチンについて調べたことをお話させていただきます。

免疫とワクチン

まず免疫とは、体内に異物であるウイルスや病原菌が元で身体がおかしくなっている時に、身体がそれらに打ち勝った時には二度とその病には罹らなくなる耐性のことです。 この原理を応用したものが「ワクチン」です。外部より体内に毒性を無くした、または弱めたウイルスを残し、耐性が得られるようにします。

ポリオとワクチン

ポリオとは、別名を 急性灰白髄炎 (きゅうせいかいはくずいえん) といい、 脊髄の運動神経細胞が破壊されて左右非対称性の麻痺を残す恐ろしい病気です。ポリオワクチンにより耐性を得ることができますが、稀にワクチンの副作用で麻痺を発症させる危険性もはらんでいます。

ポリオワクチンには2種類あり、海外では不活性型を主に使い、日本では生ワクチンを使用しております。筆者の主観ですが、「生 (raw) 」は食を重んじる我々日本人にとって食べ物から容易に連想され、「お刺身やお造り」、「生ビールや生酒」のように火入れを一度もしていない物、つまり、新鮮そのものの「生」というだけで価値があるもののように思われているふしがあり、抵抗がとても少ないのではないかと思います。そうしたことから、「生」の方を選ぶ傾向にあるのではないでしょうか。という筆者の想像とは全く違い、日本国が生ワクチンを使う理由とは、ワクチンを製造する場所が国内に一箇所しかないという点と厚生労働省が不活化型ワクチンの認可を出していないことにあります。日本国内で唯一ワクチン製造できる所が財団法人日本ポリオ研究所という所で、10年以上前から安全面で上回る不活化型ワクチンの認可申請を行っておりますが、未だに認可が下りていない状態なのです。

先日、不活化型ポリオワクチンを待つ接種希望者には嬉しいニュースがありました。製薬会社サノフィパスツールがポリオの不活化型ワクチン製造販売を厚生労働省へ申請したという発表がありました。同省はこのワクチンを今秋の導入を目指しているとのことです。(2012年2月23日読売新聞)この件を皮切りにして早くから申請している前述の国内メーカーの認可も下りて貰いたいものです。

さて、ワクチンには種類があり、今のところ「不活化型ワクチン」と「生ワクチン」の2種類があります。両者ともにメリット・デメリットがあり万能ではありません。なお、生ワクチンは非常に少ない確率で副作用である手足の麻痺が発生してしまう恐れがあるようですので、個人での情報収集はもちろん、医師との相談を密にして細心の注意を以って危険性の確認をお願いいたします。

不活化型ワクチンと生ワクチンを比較すると

不活化型ワクチン 生ワクチン
接種法 注射 飲む
得られる免疫の種類 液性免疫 液性免疫
細胞免疫
接種回数 複数回 1回
小児麻痺 無し 有り(20~50万分の1)
値段 高い 安い(無料)
健康被害の公的救済制度 無し 有り

免疫の種類

液性免疫 細胞の形がなく、血液中に溶けている
細胞免疫 白血球、マクロファージ、好中球、リンパ球など

不活化型ワクチンは国内で手に入らないわけではございません。現在は輸入モノが国内にありますので、ワクチンを輸入している医院をお探し下さい。

photo credit: RIBI Image Library via photopin cc