疲労の原因と回復のメカニズム~疲労回復のために取りたい栄養素まとめ

疲労の原因、疲労回復のメカニズム、疲労回復のために取りたい栄養素まとめ

なぜ疲れるのか?(疲労のメカニズムとは)

ストレス社会と言われる現代では、仕事で疲労やストレスを感じている人は7割以上(平成19年度国民生活白書による)にものぼります。疲労は、痛みや発熱と並んで身体の3大アラームと言われています。もし、人が疲労を感じなければ、休むことなくずっと働き続けて突然バタッと倒れてしまう突然死なんてことが起きてしまいます。人の生命と健康を維持するための生体アラームとして疲労は存在するのです。

「疲労」と「疲労感」は違う

脳や身体が疲れてくると、私たちは疲労を感じます。このとき感じる疲労を疲労感と呼びます。私たちは、この「疲労」と「疲労感」を同じ意味と考えがちですが、実は異なるものだということを多くの人は知りません。「疲労」とは、作業効率などのパフォーマンスが低下した状態と定義され、実際に身体が感じる疲労であるのに対し、「疲労感」とは私たちが主観的に感じる疲労の度合いを言います。

例えば、スポーツをしていると、よい結果が出ているときはあまり疲れを感じないのに、悪い結果のときはいつも以上に疲れを感じたりすることがあります。また、全く同じ仕事をしているのに、非常にうまくいっている時に感じる疲労感と、まったくうまくいっていないときに感じる疲労感には大きな違いがあるはずです。実際、達成感や意欲を持って仕事をしている場合に私たちが感じる疲労感は、実際に身体が感じている疲労よりも少ないことが多いのです。つまり、意欲や達成感によって、疲労が実際よりも過小評価されてしまうのです。意欲や達成感をもって仕事をしている人に過労死や突然死が多いのはこのためです。

疲労の分類1~身体の疲れと脳の疲れ~

疲労は、筋肉など身体の疲れである末梢性疲労と、脳の疲れである中枢性疲労に分けられます。スポーツなどで激しい運動をした後や、長時間身体を動かした後などは、全身がだるい感じになったりします。これが末梢性疲労と呼ばれるもので、筋肉疲労や眼精疲労などが含まれます。これら肉体的な疲労は、身体を動かすことによって溜まっていく乳酸などの疲労物質が原因とされます。

これに対し、脳の疲れである中枢性疲労には精神的ストレスや個人の性格などが影響している場合が多く、身体は疲れていないのに、だるいと感じたり、無気力になったり、頭痛や不眠などの症状が現れたりします。

疲労の分類2~日常の疲れと病気由来の疲れ~

疲労は、日常の生活で起こる生理的疲労と、病気が原因となる病的疲労にも分類することが出来ます。生理的疲労は、日常生活の中で、精神や身体に負荷がかかった結果として作業効率が低下している状態で、休息を取れば自然に解消していきます。

これに対して、病的疲労とは、癌、エイズ等の疾患やうつ病、睡眠障害等の精神疾患、慢性疲労症候群などの疾患による疲労のことで、比較的負荷の少ない状態であっても、慢性的な倦怠感や作業効率の低下が見られ、発熱やリンパ節の腫れ、記憶障害などの症状を伴うこともあります。

疲労の原因は何か?

エネルギー不足(過度の小食、偏食)

疲労が起きる原因としてまず挙げられるのが、身体のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)の不足です。食事を抜いたり、過度に小食だったりしてATPの原料となる糖や脂質、タンパク質を十分に摂取できていなかったり、偏食などによってATPの産生に関わるビタミンやミネラルなどを十分に摂取できていない状態だったりすると、体内で十分なエネルギーを産生することが出来なくなります。その結果、身体はガス欠状態となり疲労が起こります。

乳酸・アンモニア(疲労物質の蓄積)

エネルギー供給が十分であったとしても、長時間の負荷やストレスによって疲労が発生します。運動をしていると筋肉の中に乳酸がたまりますが、この乳酸が多くなると、組織や血液が酸性に傾き細胞の活動が低下してしまい疲労へと繋がります。また、タンパク質をエネルギーへと変換する際や、古くなった細胞が分解される際に発生するアンモニアは、中枢神経の機能低下や筋肉中の乳酸の生成を促進し、疲労の原因となります。

物理的・精神的ストレス

きつい運動やストレスフルな仕事などによって骨格筋細胞や神経細胞に負荷が加わると自律神経が交感神経優位の状態となります。すると、白血球内の顆粒級が増加して免疫機能が下がったり、活性酸素が過剰に産生され、その活性酸素によって細胞が攻撃されたりすることで細胞機能が低下します。その結果、エネルギーの産生能力が低下(TCA回路におけるATP産生が阻害)し疲労へと繋がります。栄養供給が十分な現代では、エネルギー不足による疲労より、仕事や人間関係、経済的なストレスによって起きる疲労の方が多いと考えられます。

疲労回復のメカニズム

休息・睡眠

いうまでもなく、疲れを感じたときには休息・睡眠が大切です。休息を取ることによって、ストレスや負荷から身体や脳を解放することで、乳酸やアンモニアの発生を抑えると共に代謝を促進します。また、睡眠時にはホルモンの分泌が高まります。成長ホルモンは、筋の修復や疲労した機能の回復を促進します。その他のホルモンも身体の恒常性を維持する役割を持ち、低下した機能を修復します。睡眠は、疲れた身体を回復させ、その機能を向上させるのです。

さらに、休息や睡眠によるリラックスは、自律神経を副交感神経優位の状態に導くことで過剰な活性酸素の発生を抑え、細胞への攻撃を防ぐと同時にリンパ球が増えることで免疫力も高めます。

エネルギーの産生と疲労物質の分解メカニズム

先にも述べたように、人は摂取した栄養をATPという物質に変換して必要なエネルギーを得ています。このATPの生産は体中の細胞で行われています。また、乳酸やアンモニアなどの疲労物質は、体内で分解されてエネルギー代謝に再利用されたり、尿として体外へ排出されたりします。

解糖系

細胞に運ばれた糖質(グルコース)は、細胞質の解糖系という経路でピルビン酸へと酸化され、この過程でATPが生成されます。ただし、この経路では嫌気状態(酸素の無い状態=例えば無酸素運動などの激しい運動状態)だとピルビン酸は乳酸へと変換され疲労へと繋がります。解糖系は、ほとんどの生物が備えている原始的な代謝経路です。

β酸化

脂肪は主に小腸で吸収、脂肪酸へと分解されます。この脂肪酸は細胞内のミトコンドリアという器官でβ酸化という過程を経てATPを産生します。なお、脂肪酸は脳関門(脳に必要でない物質を脳へと運び入れないよう制限する生体機構)を通過できないので、脳細胞のエネルギー源としては使用出来ません。

TCA回路(クエン酸回路)

解糖系で酸化されたピルビン酸の代謝や、脂肪酸のβ酸化によってアセチルCoAという物質が得られます。この物質がクエン酸回路という経路に入って二酸化炭素にまで分解される過程でATPが産生されます。TCA回路は酸素呼吸を行うほとんどの生物が備えており、ATPを最も効率よく生産する代謝系です。ちなみに、解糖系で発生した乳酸は好気状態(酸素のある状態)になると再度ピルビン酸へと変換された後にアセチルCoAへと代謝されTCA回路に入ります。

オルニチン回路(尿素回路)

オルニチン回路は肝臓の肝細胞に存在します。この代謝回路は、体内で生成された疲労物質であるアンモニアを無毒化し尿素へと変換します。

疲労回復のために摂りたい栄養素

基本中の基本:ビタミン・ミネラル

最も摂って頂きたい栄養素はビタミン、ミネラルです。上記のエネルギー産生や疲労物質の分解経路では多くの酵素が働いていますが、その酵素の働きを助けるのがビタミンやミネラルになります。

疲労物質である乳酸やアンモニアは、TCA回路やオルニチン回路で代謝・分解されますが、これら回路で働く酵素の活性に深く関わっているのが、亜鉛や鉄、マンガンなどの微量ミネラルとビタミンB1などの栄養素です。また、働き過ぎやストレス過多が指摘される現代人は、自律神経のバランスが崩れて交感神経が常に優位になっていることが多く、神経の働きを正常に保つように働くビタミンB群(特にビタミンB12)やカルシウム、マグネシウムも非常に重要な栄養素です。

疲労回復に関連する役割 多く含む食品
ビタミンB1 エネルギー代謝、神経や筋肉の働きを補助 豚ヒレ、豚モモ、ウナギ
ビタミンB2 炭水化物・脂質の代謝 豚レバー、牛レバー、鶏レバー
ビタミンB6 脂質・タンパク質の代謝、ホルモンや神経伝達物質の合成、免疫機能の維持 サンマ、カツオ、メジマグロ
ビタミンB12 神経細胞の安定 シジミ、赤貝、サンマ
ビタミンC 抗酸化・免疫機能の維持 アセロラ、柿、赤ピーマン
ビタミンE 抗酸化・免疫機能の維持、ホルモン分泌調整 ウナギ、カボチャ、アーモンド
カルシウム 神経細胞の安定 干しエビ、ワカサギ、煮干し
マグネシウム 糖質・タンパク質・脂質の代謝 大豆、あずき、昆布
赤血球を構成し酸素を運搬 豚レバー、鶏レバー、大豆
亜鉛 DNA・タンパク質の合成、免疫機能の維持 牡蠣、豚レバー、煮干し
マンガン 糖質・タンパク質・脂質の代謝 栗、玄米、生そば
セレン 抗酸化 ワカサギ、イワシ、ネギ

脳の疲労:糖質

手っ取り早く脳の疲れを軽減するには、糖質を摂取するのが一番です。糖質は消化吸収が早いため脳のみならず肉体へも素早くエネルギー補給をすることができます(脳には脳関門があり、エネルギー源としては糖質のみが通過することが出来ます)。しかし、糖質といえばケーキやチョコレートなどの甘いものを想像しがちです。確かに、これらの糖質(単糖類や二糖類)は脳のエネルギーであるブドウ糖への分解や吸収が早いため疲労に対して素早い効果が期待されますが、つい食べ過ぎてメタボリック・シンドロームや糖尿病へと繋がってしまうリスクもあります。また、栄養ドリンクなどに多量の糖質が入っているのもこのためです。

筋肉性疲労:糖質、タンパク質・アミノ酸

糖質については上記の通りです。そして、筋肉性の疲労にはタンパク質が重要になります。筋肉を激しく使うような仕事や運動では筋肉(たんぱく質)をアミノ酸へと分解し、これをさらにグリコーゲン(炭水化物)に変化させてエネルギーとして消費します。そのため、タンパク質やタンパク質を構成するアミノ酸を摂取することで消費した分を補う必要があります。

おまけ:栄養ドリンクは効果があるのか?

飲むと「元気が出た気分」になる

栄養ドリンクの主な成分は、ブドウ糖とビタミン類、カフェインやアルコールです。ブドウ糖は消化吸収が早いためすぐにエネルギーへと変換されますし、カフェインやアルコールには覚醒作用があります。また、液体であるため腸による吸収が速く効果も早く出てきます。つまり、栄養ドリンクの効果は、ブドウ糖やビタミン類による栄養素的な効果と、カフェインやアルコールによる「疲労が回復した気分」へと導く効果なのです。

常用は避けるべき

栄養ドリンクに含まれるカフェインやアルコールは、依存しやすい傾向がありますし肝臓にも負担をかけます。また、ブドウ糖を多く含むため、毎日飲んでいると糖尿病につながる危険性もあります。常用するのは避けて、「ここぞ!」と言うときのために残しておきたいものです。

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